「あたしたちもしよっか。セックス」 ピカピカの一年生たちから輝きが褪せる、夏休みを目前に控えたある日。 クラスの過半數を占める脇役組の男女數人ずつが連れだって、 下心以上合コン未満未満という微妙な催しを開いたその帰り…。 瀬尾幸久(セノオ ユキヒサ)-あなたは、 小さなころから知ってはいるけれども幼馴染と胸を張って言うには微妙―という程度の付き合いの女友達、秋原志穂(アキハラ シホ)とファミレスで駄弁っていた。 話はもちろん『合コン(?)』で出來た一組のカップルについてだ。 「意外とさ、あんなふうにさらっと付き合っちゃうもんなのね」 「ま、告ってからの関係のが長いワケだしな。はじめは気軽にってことだろ?試してみて、ダメなら次だ」 「おお、おお、大いに語りますなあ。童貞男子クン♪」 「うっせ。お前だって処女だろうが」 「処女は資産。童貞はリスク」 「…あいつら、このあとすぐセックスすんのかな。だってこのあたりラブホ幾つもあるし」 志穂はあなたのことをじっと見て、 「処女と童貞は恥ずかしいって、みんなが言うんだよね」 さらりと言った後、あなたを上目遣いで見つめ、こう続けた。 「-あたしたちもしよっか。セックス」 「はぁ?」 人をからかうのも大概にしろよ、処女のクセに強がって―と、軽く返そうとしたあなたを真正面から射貫く志穂の瞳。 にんまりと人の悪い笑みを浮かべているくせに、そこには確かな熱が浮かんでいた。 「男としての自信、女としての自信を持つのに手っ取り早いのはさ、やっぱ経験だと思うワケ」 「それに、あんたにはメリットしかない提案じゃない?」 志穂は、にひひと笑いながら胸元に指を運び、シャツの襟首をぐいと押し下げた。 運動部だからか、健康的でありながらも肉付きの良い上半身、その汗ばんだ谷間が見える。 そこだけ日に焼けていない丸く豊かな膨らみは、どうしようもなくエロかった。 「あんた、普段からちらちらあたしの胸見てるの知ってんだからね。隣の席を良いことにさ」 「…お前、顔はそんなでもないけど、身體はマジでエロいからな」 「…サイテー☆」 楽しそうに笑いながら、志穂は決定事項を通達するように言った。 「ドリンクバーお代わりしたら、あんたの家に行こ。今は誰もいないんでしょ?」 一年の夏、唐突に始まった志穂とのセックスフレンド関係は三年間でどんな結末を迎えるのか。