幼馴染の《天野拓也》と《岸遙香》は友人が獃れるほど何事も競い合うふたりだ。ある日、遙香は拓也が引っ越すことを知る。 すべての物事は多かれ少なかれ変わっていく。それがどれほど居心地の良い場所であれ、同じ場所にとどまり続けることは、もしそれを望んだとしても難しい。季節が過ぎ去り月日を重ねていくなかで、いつしかふたりの間にはあの頃とは違う距離ができていた。決して変えることのできない現実。だからといって、何もせず流れに身を任せ続けることが、自分にとってベストを盡くすということなのだろうか。 自分の弱さを認めること。隠れた気持ちを想像すること。見失ったものを再び摑み取るため、ふたりはとある決意をする。