「ブーッ」と部屋のブザーが鳴り、ドアを開けるとそこには小さな男の子が立っていた。 手に持った高級ティッシュ箱をスッと差し出し、 「203號室に越してきた、“さとう”ともうす。以後、おみしりおきを。」 とある事情で『アパートの清水』に一人暮らしをすることになった、さとうコタロー、4歳。 腰におもちゃの刀を攜え、今日も一人買い物に出かける。 その大人っぽくもあり、幼くもあるコタローの賢明な生き方は、周りの人に少しずつ影響を與えていく。 両親と過ごせるその日のために、強く生きると決心した4歳児の物語――。